“きづかい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
気遣71.2%
憂慮22.0%
気支5.1%
気配1.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「なに。背の立たない気遣きづかいは無い」こう云って、石原は素早く裸になった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
笹の葉を焚くのだから、真冬のほたのようなさかんな火になる気遣きづかいはない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
万一の場合には会の名義人が責任を負うから筆耕やその他のものに迷惑のかかる気遣きづかいはないというのである。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
モウ連城れんじょうたまを手に握ったようなもので、れから原書は大事にしてあるから如何どうにも気遣きづかいはない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
将校にはいくら腐敗したものが多くとも、兵卒は皆愛国の民である、かういふ風に一国の土台となるべき下等社会が慥であれば、その国の亡びる気遣きづかいはない。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「はい、それに実は何でござります、……大分年数もちました事ゆえ、一時ひととき半時では、誰方もお心付こころづき憂慮きづかいはござりませんが。……貴女には、何をおかくし申しましょう。てまえはその、はい、以前はやはりこの土地に住いましたもので。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いや、お憂慮きづかいには及びません。」
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よう貴女あんた、これを持つまで、多一さんを思やはった、おんな同士や、察せいでか。——袂にあったら、粗相して落すとならん。憂慮きづかいなやろさかい、私がこうするよって、大事ないえ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おお、そして何よ、憂慮きづかいをさっしゃるな、どうもしねえ、何ともねえ、おら頸子くびったまにも手を触りやしねえ、胸を見な、不動様のお守札が乗っけてあら、そらの、ほうら、」
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
社務所には、既に、近頃このあたりの大地主になれらましたる代議士閣下をはじめ、お歴々衆、村民一同の事をお憂慮きづかいなされて、雨乞あまごいの模様を御見物にお揃いでござりますてな。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
悪い女でなくても東京で女房を貰ったら自分は帰って来る気があっても東京の女なんぞはこんな田舎へ引込む気はないからね。国の事なんぞは夢にも見なくなってしまうだ。満さんは本家のおだいさんと縁組するはずになっているそうだから国の事を忘れる気支きづかいもあるめいけれど、こういつまでも帰らねいのを見ると何だか少し怪しいようだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それも先方の病気を知っていてその病人に適するような食物を自分の家庭でこしらえて持って行くのなら格別だけれども、到来物の菓子なぞを病人見舞にするとは不心得にもほどのあったものだ。こんな馬鹿気ばかげた事のまない内はとても我邦に衛生思想の発達する気支きづかいがない。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
誰に逢っても昔の身上みのうえを知られる気配きづかいもあるまいと多寡たかくくって、彼は平気で町中まちなかを歩いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)