気支きづかい)” の例文
あとでお医者に聞いたら大笑いで、鶏は決して水分を分泌しない動物だ、どんな薬を用いても汗の出る気支きづかいがないという事でした。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
しかるに上流人士はイザ知らず、中流以下の家庭はまだとても西洋料理を常食とするまでに進歩せんよ。三年や五年でとてもそうなる気支きづかいがない。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
満さんは本家のおだいさんと縁組するはずになっているそうだから国の事を忘れる気支きづかいもあるめいけれど、こういつまでも帰らねいのを見ると何だか少し怪しいようだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
物をあぶり物をるも火力平均するがため少しくその使用法にるれば仕損しそんずる気支きづかいなし。費用は薪炭の時代に一日壱円五十一銭を要せしが今は瓦斯代九十五銭を要するのみ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
究屈を嫌って放埒ほうらつを好み規律を嫌って我儘わがままを好むような人に物の真相が解る気支きづかいがない。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こんな馬鹿気ばかげた事のまない内はとても我邦に衛生思想の発達する気支きづかいがない。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
先日も或る宝石屋へ行って宝石入の指環ゆびわを買いましたが最初の時は番頭が応対して日本製の品物でも細工が上手になっていますから決して宝石の抜け出す気支きづかいがありませんと真珠入の指環を
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)