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おほさわぎ
『
少しも
乘客を
煩はさんやうに
務めてゐる
俺か、
其れとも
這麼に
一人で
大騷をしてゐた、
誰にも
休息も
爲せぬ
此の
利己主義男か?』
見るに
路次の方水口より這入し
樣子なり其中に
家主も來り
大騷となりしが
早々翌日此段大岡殿御番所へ
訴へ出るに早速
呼出され段々
尋問となり其日
怪き者來らずやと申さるゝに私し留守故
委しくは存じ仕らず候へども
隣家の者の
噂には日頃雇ひ候庄兵衞と云者參りし樣に存じ候趣き
併ながら人の
咄しと云
確と見屆候義には
「やあ、
大騒を遣つてゐるなあ。
何処か出掛けるのかい。」