)” の例文
旧字:
「これが成功せいこうしたら、まったく、なかわってしまうだろう。いったい、このさき、どこまで科学かがくちから進歩しんぽするものだろうか?」
おばあさんとツェッペリン (新字新仮名) / 小川未明(著)
谷の中の景色けしきにはなにもわったものはなかった。それはそっくり同じに見えた。けむりまで同じようにえんとつから上がっていた。
和尚おしょうさんはすこし「へんだ。」とおもいましたが、ほかにわったこともないので、安心あんしんしてまた水をれて、いろりにかけました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
本とうはどんなものでもわらないものはないのです。ごらんなさい。こうのそらはまっさおでしょう。まるでいい孔雀石くじゃくせきのようです。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
説教集せっきょうしゅうはテーブルの上にありました。見たところ、わったようすはありません。でもやっぱり、ちょっとへんなところがあるようです。
三四郎は真面目まじめに「御気の毒です」といつた許である。野々宮さんは、わかいものを、極め付ける積で云つたんでいと見えて、少し調子をへた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
糟谷かすやはくるしく思うけれど、平生へいぜい心おきなくまじわった老人であるから、そうきびしくことわれない、かつまたあまりにわかにわった態度たいどをして
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
したしげに金之助きんのすけさんのこえわりはなかった。しかし袖子そでこはもう以前いぜんおなじようにはこのおとこけなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
……魔物まものだ、おにわめいて、血相けつさうへてござる……うもところ、——うへ逆上のぼせあがらつしやるなよ——うやら取逆とりのぼせてさつしやるが、はて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小角のひとり娘の咲耶子さくやこは、あやうく父とともに、かれの毒手どくしゅにかかるところだったが、せつえぬ七、八十人の野武士もあって、ともに裾野すそのへかくれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふとした物音ものおとけたきっかけに、半年振はんとしぶりたおせんのからだは、まったくってわった大人おとなびよう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
屋根にはイルミネーションがつき、前面には金銀のまくが下がり、幾本いくほんものはたがにぎやかに立ちならび、すべて新吉の町につくったものと少しもわりませんでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
このいなかの旅館りょかんは、いつもひっそりとしずかで、一番いちばんきゃくのたてこむ夏の間でさえ、たいしてわったことがあるわけでなく、おだやかな毎日がくりかえされていた。
顔色をえてそとへとびだしたばかりなのですが、——というのは、ちょうどそのとき、つよそうな百姓ひゃくしょうが六人がかりで、よっぱらったダッタン人のガージンをやっつけようと
イワン、デミトリチははじめのうち院長いんちょう野心やしんでもあるのではいかとうたがって、かれにとかくとおざかって、不愛想ぶあいそうにしていたが、段々だんだんれて、ついにはまった素振そぶりえたのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
源吉が目の色へて男の宿の平吉の家へ飛び込んだ時はさすがに二人共震へ上った。
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
かく比喩ひゆをもってしては、あるいは意味がわからぬか知らぬが、たとええていえば一日に六時間学生に教授するといえば、授業時間にはにがい顔せず、またしかったり不愉快ふゆかいふうに教えないで
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
だから、私の場合は、世間の人をまどわす罪もなく、子孫に口唇裂や平たい鼻などのわりものが生まれるというごうのむくいをうけるはずが、どうしてあろうか。そのおそれはないというものである。
ただそれを聞きさえすればいいのだ。ありとあらゆるものがかなでるそういう音楽おんがくは、すべてクリストフのうちにりひびいていた。かれたりかんじたりするあらゆるものは、みな音楽おんがくわっていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ヒゲがぬけてしまつても わしはわしのかんがへをへません
鴉一羽山の枯木にとまりたり向きをへたり吹く風の中
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
庵主あんじゅだって日本人にほんじんわりはないわけさ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
まちなかとお人々ひとびとも、両側りょうがわみせもだいぶわったけれど、やはり、銀行ぎんこうは、そこにあり、そして、こうがわにたばこがありました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、パリへ出て、おまえさんもずいぶん人がわったねえ。おまえさん、行くまえにはそんなことは言わない人だったがねえ」
その瞬間しゅんかん、ネコはいままでのネコとは思えないほど、すっかりわってしまいました。毛をさかだて、せなかをまるめ、足をのばしました。
ほんの十分か十五分のいのちです。ただ三びょうのときさえあります。ところがあなたにかがやく七色はいつまでもわりません
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
てんでん、こんなことを口々くちぐちにわいわいいながら、またおてらえんの下で会議かいぎひらきました。けれどもべつだんわったいい知恵ちえも出ません。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こればかりは親の力にもおよばないとはいうものの、むすめが苦悶くもんのためにおもざしまでわったのを見ては、じつの親として心配せぬわけにはゆかない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
をりから来合きあはせた権七ごんしちせると、いろへ、くちとがらせ、ひからせてながめたが、つらからすにもらず、……あし朽木くちきにもらず、そではねにもらぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
袖子そでこがあの人形にんぎょうはなしかけるのは、きている子供こどもはなしかけるのとほとんどわりがないくらいであった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たゞ、それが生理的に反射してたびに、椅子のうへで、少しづゝ身体からだの位置をへなければならなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
口小言くちこごとをいいながら、みずか格子戸こうしどのところまでってった松江しょうこうは、わざと声音こわねえて、ひくたずねた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ただ、あることで姿すがたが見えなくなったが、人さまの目に見えないだけで、ぼく自身じしんは、なんにもわったことはないんだ。こころからだむかしのままのグリッフィンなんだよ
「ある人の、さまへて、仁和寺の奥なる所にあるを」「ある所の女房、世をのがれて西山に住むとき……」「ある宮に仕へはべりける女房、世にそむきて、都遠くあるを」
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、良薬りょうやくをもらって、そのかんがえがわりました。じいさんは、にこにことして、きゅう仕事しごとをするのにいができたのでした。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれはわたしたちにやめろと言ったが、さっきまでの様子とはだいぶわっていた。その様子でわたしはもうたいしたことはないとさとった。
するとあたりの調子ちょうしがなんだかきゅうへんなぐあいになりました。雨があられにわってパラパラパラパラやってきたのです。
そして、こんなバカバカしいことがえてなくなってしまえばいいとねがいながら、二、三分して目をあけました。ところが、なんのわりもありません。
母親ははおやわった姿すがたてびっくりした子供こどもは、きながら方々ほうぼう父親ちちおやのいるところさがあるいて、やっとつけると、いまがたたふしぎを父親ちちおやはなしたのです。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
安藤ははなしの口があくと、まず自分が一年まえにったときと、きょう会った花前はよほどわっている。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
売薬ばいやくもこれでまよつたのであらうとおもうち切放きれはなれよくむきへてみぎさかをすた/\とのぼりはじめた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒馬旅館くろうまりょかんでは、よくあんなわったきゃくをとまらせておくねえ。どんな考えでいるんだろう」
はらのなかにちいさなしわが無数に出来できて、其皺そのしわが絶えず、相互さうごの位地と、形状かたちとをへて、一面にうごいてゐる様な気持がする。代助は時々とき/″\斯う云ふ情調の支配を受ける事がある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こういう場合ばあいにかぎらず、子供ときくと、すぐ顔色をえるのがお時のくせになっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がつゆき綿わたのようにまちて、一晩ひとばんのうちに見事みごとけてゆくころには、袖子そでこいえではもう光子みつこさんをこえこらなかった。それが「金之助きんのすけさん、金之助きんのすけさん」にわった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そいつも、ただてるんならまだしもだが、薬罐やかんうえつらかぶせて、立昇たちのぼ湯気ゆげを、血相けっそうえていでるじゃねえか。あれがおめえ、いい心持こころもちていられるか、いられねえか、まずかんがえてくんねえ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いつしか、ひとづかぬうちに、天気模様てんきもようはがらりとわっていました。くらそらは、ただ一つの星影ほしかげだに、にとまらなかった。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
五日のお月さまは、この時雲と山のとのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色をえて灰色はいいろ幽霊ゆうれいみたいになって言いました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この六部ろくぶはもとはりっぱなおさむらいで、わけがあって六部ろくぶ姿すがたえて諸国しょこくをめぐりあるいているのでしたから、それこそ大抵たいていのことにはおどろかないつよい人でした。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこでまた場所をえて、まだ見ない見物の前で、これらの狂言きょうげんを、相変あいかわらず、『下剤をかけた病人』か、『正義の勝利』をやらなければならなかった。