人數にんず)” の例文
新字:人数
幾ら人數にんずが少ないとツて、書生もゐる下婢げぢよもゐる、それで滅多めつたと笑聲さへ聞えぬといふのだから、まるで冬のぱらのやうな光景だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
おゝい、おゝい、母屋おもやつどへる人數にんずには、たらひたゞ一枚いちまいおほいなる睡蓮れんげしろはなに、うつくしきひとみありて、すら/\とながりきとか。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この八月はちがつ十五日じゆうごにちにはてんからむかへのものるとまをしてをりますが、そのときには人數にんずをおつかはしになつて、つきみやこ人々ひと/″\つかまへてくださいませ
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
よびて其方は天一坊召捕方めしとりかた手配てくばりを致べしと仰付られ池田大助には天一坊召取方めしとりかたを申付らる是によつて三五郎は以前の如く江戸出口十三ヶ所へ人數にんず
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひろくもないはたけのこらずが一くはれるのでおの/\たがひ邪魔じやまりつゝ人數にんずなかば始終しじうくはつゑいてはつてとほくへくばりつゝわらひさゞめく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それは世間せけんからると、人數にんずすくなし、家邸いへやしきつてゐるし、らくえるのも無理むりのないところでせうさ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
人數にんずのそそくさに此女中このぢよちゆうと、ほかには御飯ごはんたきらしき肥大女ふとつちよおよび、其夜そのよりてよりくるまばせて二人ふたりほどきたりしひとあり、一人ひとり六十ろくじふちかかるべき人品じんぴんよき剃髮ていはつ老人らうじん
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これに出迎でむかへの村長そんちやう地主ぢぬし有志家等いうしかとう大變たいへん人數にんずである。
寶引はうびきにもさけにもくははらぬ老人等としよりらたな周圍しうゐまはつてからはかへつたものもつてれうにはいくらか人數にんずつてたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わかひと筑前ちくぜん出生うまれ博多はかた孫一まごいち水主かこでね、十九のとし、……七ねんまへ福岡藩ふくをかはんこめんだ、千六百こく大船たいせんに、乘組のりくみ人數にんず船頭せんどうとも二十にん寶暦はうれきうまとしぐわつ六日むいか
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ものいはゞ振切ふりきらんずそでがまへあざけるやうな尻目遣しりめづか口惜くちをしとるもこゝろひがみか召使めしつかひのもの出入でいりのものゆびればすくなからぬ人數にんずながら一人ひとりとして相談さうだん相手あひてにと名告なのりづるものなし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
落すなと申つけられ又吉田三五郎には天一坊の召捕方めしとりかたを池田大助には召捕手配方めしとりてくばりがたを申付られたり是によつて吉田三五郎は江戸三箇所の出口へ人數にんずくばり先千住板橋新宿の三口へは人數若干を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いへあり、つまあり、眷屬けんぞくあり、いろがあつて、金持かねもちで、大阪おほさかひとのみに、停車場前ステエシヨンまへを、さつ/\と、自動車じどうしやくるま歩行あるくのさへ電車でんしやよりはやいまで、猶豫ためらはず、十字じふじ八方はつぱうさばける人數にんず
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
團子屋だんごや頓馬とんまたゞおかぬとうしほのやうにわきかへるさわぎ、筆屋ふでやのき掛提燈かけぢようちんもなくたゝきおとされて、つりらんぷあぶなし店先みせさき喧嘩けんくわなりませぬと女房にようぼうわめきもきかばこそ、人數にんず大凡おほよそ十四五にん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
初め江戸の出口でぐち十三ヶ所へ人數にんず
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これは御世話おせわふでやのつまにも挨拶あいさつして、祖母ばゝみづからのむかひに正太しようたいやがはれず、そのまゝれてかへらるゝあとはにはかにさびしく、人數にんずのみかはらねどえねば大人おとなまでもさびしい
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日露戰爭にちろせんさうのすぐ以前いぜんとはひながら、一圓いちゑんづゝにかぞへても、紙幣さつ人數にんず五十枚ごじふまいで、きんしやちほこ拮抗きつかうする、勇氣ゆうきのほどはすさまじい。とき二月きさらぎなりけるが、あまつさへ出陣しゆつぢんさいして、陣羽織ぢんばおりも、よろひもない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
公園こうゑんかこひ草畝くさあぜまくらにして、うちの女中ぢよちうひと毛布けつとにくるまつた。これにとなつて、あの床屋子とこやしが、子供弟子こどもでしづれで、仰向あふむけにたふれてる。わづか一坪ひとつぼたらずのところへ、左右さいうんで、人數にんずである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)