黒坊くろんぼ)” の例文
ただくわつと逆上のぼせて云ふべき臺辭せりふも忘れ、きまるさに俯向うつむいて了つた——その前を六騎のきたない子供らが鼻汁はなを垂らし、黒坊くろんぼのやうなあかつちやけた裸で
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
太郎「印度いんど黒坊くろんぼばかりゐるのかとおもつたら、おまへのやうなしろとりもゐるのかい」
幕のはじから、以前の青月代あおさかやきが、黒坊くろんぼの気か、俯向うつむけに仮髪かつらばかりをのぞかせた。が、そこの絵の、狐の面が抜出したとも見えるし、古綿の黒雲から、新粉細工の三日月が覗くともながめられる。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こんな事を話している中に、サルーンのドアがあいて、黒坊くろんぼのボイがはいって来た。藍色あいいろの夏服を着た、敏捷びんしょうそうな奴である、ボイは、黙って、脇にかかえていた新聞の一束ひとたばを、テーブルの上へのせる。
Mensura Zoili (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「大丈夫よ。それにまた、黒坊くろんぼだってついてるんだもの。」