“麻鞋”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あさぐつ50.0%
おぐつ50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
山東笠さんとうがさを日除けにかぶり、青紗あおしゃの袖無し、麻衣あさごろも脚絆きゃはん麻鞋あさぐつの足ごしらえも軽快に、ただ腰なる一腰ひとこしのみは、刀身なかみのほども思わるる業刀わざものと見えた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山行者やまぎょうじゃの着るすそみじかな白衣びゃくえに、あかじみた丸グケの帯。おいは負わず、笈の代りに古銅づくりの一剣を負っている。麻鞋あさぐつは、これも約束の行者穿きのもの。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき、一人のせた若者が、生薑しょうがを噛みつつ木槵樹もくろじゅの下へ現れた。彼は破れた軽い麻鞋おぐつを、水に浸ったたわらのように重々しく運びながら、次第に草玉の茂みの方へ近か寄って来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
若者は、月の光りに咲き出た夜の花のような卑弥呼の姿を、茫然ぼうぜんとして眺めていた。彼女は大兄に微笑を与えると、先に立って宮殿の身屋むやの方へ歩いていった。若者は漸く麻鞋おぐつを動かした。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)