らん)” の例文
と、口をむすんだ地福寺じふくじの慈音、それをはずしたとたんに黒いらんったかのごとく、とうをふりかざして才蔵の手もとへおどった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほうくだらんわか
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
つばさったらんのように、飛びしさった龍耳りゅうじ老人の手には、黒檀柄こくたんえ銀鋲ぎんびょうを打ったスペイン型の短銃たんじゅう! 真綿まわたのようなけむりをいて持たれている……。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここへらんに乗って仮に世へ降りてきたような一仙人と、江湖せけんの俗から拝まれている羅真人は、いま、松鶴軒しょうかくけん椅子いすって、ふと瞑想めいそうからめていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)