魏徴ぎちょう)” の例文
敬の著すところ、卓氏たくし遺書五十巻、予いまだ目をぐうせずといえども、管仲かんちゅう魏徴ぎちょうの事を以てふうせられしの人、其の書必ずきあらん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これを以てこれを見るに、当身のその本人が十年前に狂と見た熊楠の叡智に今は驚き居るに相違ない。魏徴ぎちょう、太宗に言いしは、われをして良臣たらしめよ、忠臣たらしむるなかれと。
魏徴ぎちょうの「述懐」の一節まで若い頃の様に心に浮ぶのだ。
(新字新仮名) / 富田常雄(著)
しかその才をあわれみて獄につなぎ、ふうするに管仲かんちゅう魏徴ぎちょうの事をもってす。帝のこころ、敬を用いんとするなり。敬たゞ涕泣ていきゅうしてかず。帝なお殺すに忍びず。道衍どうえんもうす、とらを養うはうれいのこすのみと。帝の意ついに決す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)