髷節まげぶし)” の例文
髷節まげぶしを取られない用心のために、半七は髷と手拭のあいだに小さい針金を入れて置いたので、手拭は地頭じあたまよりも高く盛り上がっていた。
これが何んのいはくもなかつた日にや、あつしは髷節まげぶしでも切るか、十手捕繩を返上しなきやなりませんよ。兎に角ちよいと覗いてやつて下さい
つい、うっかり口走って、へへへと髷節まげぶしへ手をやり
その上錢形の親分が伊三郎の繩を解いたら、この甚三が髷節まげぶしをきつて坊主にならうか、それとも三遍廻つてワンと言はうか
この時、なにか其の顔をひやりとでたものがある。はっと思って見あげると、一匹の大きい蝙蝠こうもりはねをひろげて宙にぶらさがっていた。又行くと、今度はその頭の髷節まげぶしをつかんだような物がある。
へへへ、と髷節まげぶしへ手をやって
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
流行物はやりものと言へば、大道博奕ばくち舟比丘尼ふなびくに、お前の頭のやうに髷節まげぶしを無闇に右に曲げるのだつて流行物の一つらしいが、どうせろくなものは無いな」
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
髷節まげぶしを先に立てて飛んで來た八五郎は、格子に突き當つて、ポンとけし飛んで、例の木戸からバアと顏を出しました。
二匹の犬のように、猛然と噛み合う二人、後ろからは女房がガラッ八の髷節まげぶしへ、必死とブラ下がってしまいました。
春の朝日と一緒に飛込んだガラッ八は、これもろくになかったらしい、平次の前にくたびれた髷節まげぶしを掻きました。
紙に包んだものを解くと、中から出て來たのは、切立ての男の髷節まげぶし。少し白髮の交つて居るのも淺ましい姿です。
死骸を穴から引揚げてみると、後ろから脳天をやられたらしく、髷節まげぶしのあたりに大きな傷がついているのです。
あげて髷節まげぶしを叩いたら、——宜いか、相手は誰でも構はない。お前のすぐ側に居る人間を三味線堀に突き飛ばせ
三人の相手は、唖のごとく黙りこくって、ガラッ八の懐からたもと髷節まげぶしの中から、ふんどしの三つまで捜しました。
三人の相手は、おしの如く默りこくつて、ガラツ八の懷から袂、髷節まげぶしの中から、ふんどしの三つまで搜しました。
相變らず髷節まげぶしで調子を取りながり、シンコペエトな足取りで路地一パイに踊りながら來る八五郎です。
「何を言やがる。危ねえのは手前てめえの顎だ、片付けておかねえと、俺の髷節まげぶしに引っ掛るじゃないか」
自分の髷節まげぶしは横町の方に向いてほこりをかぶり、意気なあわせはしま目も判らぬほど泥にまみれて、全身いたるところに傷だらけ、それがお勝手口からコソコソとでも入ることか
自慢の髷節まげぶしは横町の方に向いてほこりをかぶり、意氣な袷はしま目も判らぬほど泥に塗れて、全身いたるところに傷だらけ、それがお勝手口からコソコソとでも入ることか
「まだ巳刻よつ前だよ、良い兄さんが髷節まげぶしほこりを附けて歩く時刻ぢやないよ。それに氣組が大變ぢやないか。叔母さんとこの味噌汁みそしる煮豆にまめぢや、そんなはづみがつくわけはねえ」
生温かい陽は、平次の髷節まげぶしから肩を流れて、盛りを過ぎた梅と福壽草ふくじゆさうの鉢に淀んで居ります。
生温かい陽は、平次の髷節まげぶしから肩を流れて、盛りを過ぎた梅と福寿草ふくじゅそうの鉢に淀んでおります。
「百兩の褒美がそんなに有難きや、お前が行つて搜してやれ。その代り二度とこの路地を入ると、髷節まげぶしむしり取つていわしを尻へ挾んで阿呆拂ひにしてやるから、覺悟しやがれ」
平次はそんな事を言いながら、髷節まげぶしの中から、足の下まで、恐ろしく丁寧に調べております。
平次はそんな事を言ひながら、髷節まげぶしの中から、足の下まで、恐ろしく丁寧に調べて居ります。
平次はからかひ乍ら、八五郎の髷節まげぶしから網を外してやりましたが、フト氣がついた樣子で
二人は髷節まげぶしを揃へて路地の外へ出ました。初冬の江戸の町は往來の人までが妙に末枯うらがれて、晝の薄陽の中に大きな野良犬が、この施主せしゆになりさうもない二人を見送つてをります。
「十手捕繩返上と言ひ度えところだが、この髷節まげぶしをきつて、御坊の弟子になつても宜い」
「まだ巳刻よつ(十時)前だよ、良い兄さんが髷節まげぶしほこりを付けて歩く時刻じゃないよ。それに気組みが大変じゃないか。叔母さんとこの味噌汁や煮豆じゃ、そんな弾みがつくわけはねえ」
それから三日目、ガラッ八の八五郎は、髷節まげぶしを先に立てて飛んで来たのです。
銭形平次捕物控:050 碁敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
ガラッ八の八五郎は、髷節まげぶしを先に立てて、転がるように飛び込んで来ました。
髷節まげぶしが少しゆるんで拳固げんこで額際の汗をであげる様子は尋常ではありません。
髷節まげぶしが少しゆるんで拳固げんこで額際の汗を撫であげる樣子は尋常ではありません。
「そんなものなら、髷節まげぶしへ縛つて、鼻の先にブラ下げて歩くとよく匂ふぜ」
ガラッ八は恐る恐る小腰をかがめて、髷節まげぶしばかり障子の中へ入れました。
八五郎の大變が、髷節まげぶしを先に立てて、平次の家へ飛込んで來たのです。
髷節まげぶしで格子戸をあけて、——嘘をつきやがれ、髷節ぢや格子は開かねえ、俺のところは家賃がうんと溜つて居るから、表の格子だつて、建て付けが惡いんだからと——、錢形の平次は言やしません。
八五郎はなんがいあごをなでまわして、髷節まげぶしでのの字を書くのです。
ガラツ八の八五郎は、例の髷節まげぶしを先に立てて飛んで來たのです。
錢形の平次も、すつかり恐縮して髷節まげぶしを叩いて居ります。
銭形の平次も、すっかり恐縮して髷節まげぶしを叩いております。
ガラッ八の大変が髷節まげぶしを先に立てて舞い込んだのです。
ガラツ八の大變が髷節まげぶしを先に立てて舞ひ込んだのです。
髷節まげぶしで拍子を取つて、格子の外から怒鳴り込むのです。
ガラツ八は髷節まげぶしを先におつ立てて飛んで來たのです。
平次も釣られて、八五郎の髷節まげぶしに眼をやります。
平次も釣られて、八五郎の髷節まげぶしに眼をやります。