高齢こうれい)” の例文
幼時の思い出にはさすがにちがたいものがあり、ことに二人とももう八十に近い高齢こうれいなので、遠くへだたったらいつまた会えるかわからないという懸念けねんもあった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
こうして、かれは、晩年ばんねんおくりました。そして、高齢こうれいでこのなかからったのであります。かれが、なくなっても、そのさかずきだけは、完全かんぜん姿すがたのちまでのこりました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かくて佐助は晩年に及び嗣子しし妻妾さいしょうもなく門弟達に看護されつつ明治四十年十月十四日光誉春琴恵照禅定尼の祥月命日しょうつきめいにちに八十三歳と云う高齢こうれいで死んだ察する所二十一年も孤独で生きていた間に在りし日の春琴とは全く違った春琴を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)