高手小手たかてこて)” の例文
二使の守りについていた郝萌かくほうは、張飛に出会って、馬上から組み落され、高手小手たかてこてに縛られて、捕虜になってしまった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
松子はウトウトしたかと思うと高手小手たかてこてに縛り上げられて病院を引摺ひきずり出される姫草ユリ子の姿をアリアリと見たりしてゾッとして眼が醒めたという。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また砂利の上にむしろを敷きまして、其の上に高手小手たかてこてくゝされて森山勘八が居りますお目付が席を進みて。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこへ警官連中が上から折重って怪漢をひきはなし、高手小手たかてこてに縛りあげてしまった。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見ると、下男部屋のすみっこに、作蔵じいやとそのおかみさんとが、高手小手たかてこてにしばられ、さるぐつわまでかまされて、ころがっているではありませんか。むろん賊のしわざです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
必死と騒ぐ甚三郎は、二人の手で高手小手たかてこてに縛り上げられてしまいました。
やがて、検非違使のお役所へ、高手小手たかてこてに縛られた多能丸が、連れられて来ました。そして、庭の白い砂の上に、坐らされました。丁度、そこへ加茂の長者が娘を受取りに自分でやって来ました。
三人兄弟 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
四方から飛びついて、高手小手たかてこてにいましめる。
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
忍剣にんけんをはじめ小文治こぶんじ龍太郎りゅうたろうは、得たりとばかり、得物えものをすてて呂宋兵衛に折りかさなり、歯がみをしてもがきまわる奸賊を高手小手たかてこてにからめあげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高手小手たかてこてに縛り上げて割下水わりげすいどぶへ打込んだという話を聞き、義憤むら/\と発して抑え難く、ついに蟠龍軒の道場へ踏込ふみこみ、一味加担の奴ばらを打殺し、大伴だけ打漏うちもらして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
高手小手たかてこてに縛り上げられ、猿轡まではめられた運転手姿の明智小五郎を従えて。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なかのひとりがこうさけぶと、閃々せんせんたる小太刀のじんしも歯車はぐるまのように、かれのまわりをグルリとめぐって、有無うむをいわさず、蛾次郎を高手小手たかてこてにしばりあげる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その蓋を取って私を高手小手たかてこていましめて中へ入れられましたが、其の時は殺されることかと存じて居りますると、それから私を船へ乗せる様子は長持の中でも存じて居りましたが
みるみるうちに高手小手たかてこてにいましめられてしまいました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)