願望ぐわんまう)” の例文
無理な願望ぐわんまうに努力するのは努力の方向の惡いので、無理ならぬ願望に努力して、そして甲斐の無いのは、間接の努力が缺けて居るからだらう。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
で、ふいと驚いて我に返ると、今度は猛然として、私は此の感激、此の恍惚の凡てを私の力かぎり歌つて見たい願望ぐわんまうの、押へやうとしても押へられぬ餘儀無さを感ずる。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
自分の願望ぐわんまうはかりも、一方の皿に便利な国を載せて、一方の皿に夢の故郷を載せたとき、便利の皿をつたをそつと引く、白い、優しい手があつたにもかかはらず、たしかに夢の方へ傾いたのである。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
はだかなる所以ゆゑん人気じんきにて堂内のねつすることもゆるがごとくなるゆゑ也。願望ぐわんまうによりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気はだへいるがごときをもいとはず、はしらのごとき氷柱つらゝ裸身はだかみ脊負せおひて堂押にきたるもあり。
はだかなる所以ゆゑん人気じんきにて堂内のねつすることもゆるがごとくなるゆゑ也。願望ぐわんまうによりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気はだへいるがごときをもいとはず、はしらのごとき氷柱つらゝ裸身はだかみ脊負せおひて堂押にきたるもあり。