頭蓋あたま)” の例文
いや、机竜之助の名は知らない、その変名の吉田竜太郎で、頭蓋あたまの上からかかとの下まで貫くほどに覚えている。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あの曲乗りの男が頭蓋あたまをわるまで見にゆこう。そうだ、パリで興行中の三カ月間に事故が起こらなければ、おれはそれが起こるまでどこまでもおっかけていくんだ」
或る精神異常者 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
飛び石で頭蓋あたまを砕いて死んだ——それはそれとして、その陰に、こんな面妖めんような話がある。
魂消たまげなさるな西洋日本で。天の際涯はてから地のドン底まで。調べ抜いたる科学者連中が。寄ってたかって研究しても。カンジンカナメの一番大切だいじな。オノレが頭蓋あたま空洞うつろの中に。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
怖々こわ/″\庭を見る途端に、叢雲むらくもれて月があり/\と照り渡り、す月影で見ると、生垣を割って出ましたのは、頭髪かみは乱れて肩に掛り、頭蓋あたま打裂ぶっさけて面部これからこれへ血だらけになり
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
または棕櫚しゅろの幹、噴水盤の頭蓋あたまなどによじ登り、「花と美人の会合ランデブ」を、せめてその眼にて瞥見し、もっぱら後学のたしにしようと、まだ明けやらぬ五時ごろからひしめき集う大衆無慮数万。
と云うのは、提灯の口金と胎龍の頭蓋との寸法サイズであって、刺傷痕と鉄芯が、双方の円芯に当っているからだ。勿論よく剃りの当った僧侶の頭蓋あたまなら、縫合部の位置に略々見当が附くだろうからね。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
頭蓋あたまの上には雪の奴めが、白い帽子をあてがひまする。
頭蓋あたまをがんと一つくらしつけられでもしたやうに
頭蓋あたまがないぞ、おい
聖三稜玻璃:02 聖三稜玻璃 (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)