ふるい)” の例文
ここに到りて老婦人はもはや黙することを得ず、りんたるさりながらややふるいを帯びたる声にてはじめて一言、「華族じゃぞ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
抽斎はこの日に比良野の家から帰って、五百いおに「比良野は実に立派なさむらいだ」といったそうである。その声はふるいを帯びていたと、後に五百が話した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
もう久しく忘れていたふるいが己を襲って来る。4405
おら恐怖おっかなかったのなんのって、お前様対手むこうが天狗だと名告なのるからたまるめえじゃねえか、いまだにふるいが留まらねえや。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
歓喜のふるいを以て張った胸はどこにある。
微かに物皆動かすふるい、7255