雪間ゆきま)” の例文
「払ひけるしるしも有りて見ゆるかな雪間ゆきまをわけて出づるいづみの」と、道長か倫子か知らぬがお歌を賜わった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
朝の八時すぎ、一時間ほど雪間ゆきまがあって陽が照ったが、間もなくまた降りついで大雪になった。
雪間 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ご存じの楚蟹ずわえの方ですから、何でも茨を買って帰って——時々話して聞かせます——一寸いっすん幅の、ブツぎりで、雪間ゆきま紅梅こうばいという身どころをろうと、家内と徒党をして買ったのですが
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
郷里ふるさとあこがれ、春の陽光ひかりを待ちわびている孤独な人達が、そろそろ雪が消えて、まばらに地肌ぢはだが見えかけて来た時、雪間ゆきまがくれに福寿草の咲いているのを見たら、どんなによろこぶことでしょう。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
葉もなき花の白妙しろたへ雪間ゆきまがくれにまどはしく
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)