)” の例文
そんな風にこんぐらかった独語が、娘の顔の上にいつのまにか、十七の少女に似つかわしくないような、にがにがしげな表情をりつけていた。
聖家族 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
何方いずかたにか行かんと行きつ戻りつしてつかれ死にせしを埋めたる跡なりとて、林道春はやしどうしゅんの文をりたる石碑立てりとある。
僕はその指環を手にとって見、内側にってある「桃子ももこへ」と云う字に頬笑ほほえまないわけにはかなかった。
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
宰予さいよ昼寝ひるいぬ。子曰く、朽木きゅうぼくるべからざるなり。糞土のかきるべからざるなり。予に於て何ぞめんやと。子曰く、始め吾の人に於けるや、其の言を聴きて其の行を信ぜり。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
葉公しょうこう子高しこうりゅうを好むこと甚だしい。居室にも竜を繍帳しゅうちょうにも竜を画き、日常竜の中に起臥きがしていた。これを聞いたほんものの天竜が大きに欣んで一日葉公の家にくだおのれの愛好者をのぞき見た。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
王ついにイゲルナをめとり、これもほどなく戦死、アーサーぎ立て武名を轟かせしが、父になろうてかつねに竜をった金の兜を着けたとあれば、英国でも竜を兜に飾った例は、五