雁字がんじ)” の例文
形勢不穩ふをんと見て、其場から逃げ出さうとする六兵衞。早くもその後ろから平次の手が延びて、佛壇の前で雁字がんじがらめにされて了ひました。
清家博士は妻君のために雁字がんじがらめに縛りあげられ、ベッドの金具に結びつけられた。もう逃げることはできなかった。
空気男 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
脇坂山城を雁字がんじがらめにしばっているので、それから、もう一つ、筆幸に油御用を言いつけるには、どうあっても係の雑用物頭をうごかさねばならぬ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
形勢不穏と見て、その場から逃げ出そうとする六兵衛、早くもその後から平次の手が延びて、仏壇の前で雁字がんじがらめにされてしまいました。
平次は本當にお千代の雁字がんじがらめを解き始めました。赤い振袖の夫と、必死の繩目から解放された女房は、上と下とで感慨深く顏を合せます。
番所には見廻り同心賀田もく左衞門、土地の御用聞、赤城の藤八などが、雁字がんじがらめにした林彦三郎を護つて、與力の出役を待つてゐるのでした。
番所には見廻り同心賀田杢左衛門もくざえもん、土地の御用聞、赤城の藤八などが、雁字がんじがらめにした林彦三郎をまもって、与力よりき出役しゅつやくを待っているのでした。
と折重なった野次馬、一瞬ののち銭形平次は、兇賊山脇玄内を、雁字がんじがらめにして、ほこりを払っておりました。
しばらく立ちすくんだのも無理はありません。庵主大堅初め役僧と一人の小僧と、寺男までが、雁字がんじがらめに縛り上げられ、頭から蒲団を被せられ唸って居たのです。
「チエツ、雁字がんじがらめにされて、納戸なんどに投り込まれて居たんですぜ。あんな恐ろしい女護ヶ島つてあるわけのもんぢやねえ、あの肥つちよの飯炊めしたきがまた恐ろしい力で」
「チェッ、雁字がんじがらめにされて、納戸にほうり込まれていたんですぜ。あんな恐ろしい女護ヶ島ってあるわけのもんじゃねえ、あのふとっちょの飯炊きがまた恐ろしい力で」
引立てられて来たのは、雁字がんじがらめに縛り上げられたお千代、思わず仰いで夫の源太を見ると
引立てられて來たのは、雁字がんじがらめにしばり上げられたお千代、思はず仰いで夫の源太を見ると
「誰です、それは、——親分の指が動きさへすれば飛んで行つて雁字がんじがらめにして來ますよ」
言ふまでもなく用人相澤半之丞の妾お組といふのが、雁字がんじがらめにされて、水をブツかけられたり、弓の折れで打たれたり、芝居のせめを其儘の拷問がうもんにかけられて居るのです。
船の上には、一としきり乱闘が続きましたが、平次と利助の捕物上手な駆引と、一つは多勢の力で、大した過ちもなく、間もなく一味五人を、雁字がんじがらめにしてしまいました。
船の上には、一としきり乱闘が続きましたが、平次と利助の捕物上手な駆引と、一つは多勢の力で、大した過ちもなく、間もなく一味五人を、雁字がんじがらめにしてしまいました。
いうまでもなく用人相沢半之丞の妾お組というのが、雁字がんじがらめにされて、水をブッかけられたり、弓の折れで打たれたり、芝居の責めをそのままの拷問ごうもんにかけられているのです。
その中程のところに、雁字がんじがらめにして猿轡さるぐつわを噛ませた、新太郎とお靜をつるしてありますが、その繩の上から三分の一ほどのところに、もう一人、人間がブラ下がつて居るのです。
雁字がんじがらめに縛られた小三郎は、この凄まじいお美乃の純情をすぐ眼の下に眺めながら、一言の口をきくことも許されず、はふり落ちる涙を拭ふすべもなく、唇を噛み、身體を顫はせ
雁字がんじがらめに縛られた小三郎は、この凄まじいお美乃の純情をすぐ眼の下に眺めながら、一言の口をきくことも許されず、ほうり落ちる涙を拭うすべもなく、唇を噛み、身体をふるわせ
其處からいつもの手で、紐を傳はつて、ましらの如く忍び込んだ曲者は、丁度、目を覺して飛起きた、娘のお琴を一と當て、猿轡さるぐつわを噛ませた上、雁字がんじがらめにして、其儘家中を搜したのでせう
その中ほどのところに、雁字がんじがらめにして猿轡さるぐつわを噛ませた、新太郎とお静を吊してありますが、その縄の上から三分の一のほどのところに、もう一人、人間がブラ下がっているのです。
グイと扉を引開けると、石っころのように転げ出したのは雁字がんじがらめのお品。
ピシリ縄尻で叩いて、雁字がんじがらめの半十郎を、灯の側まで引っ立てます。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そこからいつもの手で、ひもを伝わって、ましらのごとく忍び込んだ曲者は、ちょうど、目を覚して飛起きた、娘のお琴を一と当て、猿轡さるぐつわを噛ませた上、雁字がんじがらめにして、そのまま家中うちじゅうを捜したのでしょう