附近まわり)” の例文
そうなって来ると、その附近まわりにいた信者達は、狂人きちがいのような眼つきをして、お駕籠を見ようとしましたが、並木や人の頭ですぐは見えません。
尼になった老婆 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこには店頭みせさき底曳網そこびきあみ雑魚ざこを並べたり、あさりやはまぐり剥身むきみを並べている処があって、その附近まわりのおかみさんが、番傘などをさしてちらほらしていた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その時はもう夕方で、からす啼声なきごえが聞え、附近まわりが灰色になって来た。子供だちは不安になった。
虎杖採り (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いろり附近まわりに四人の男女が控えてた。男は怪量を上座じょうざしょうじてから四人をり返った。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お葉、お葉、お葉」と、漁師は驚いて附近まわりを探して歩いたが見つからなかった。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その影のような真黒い坊主の姿を見ると、女房はもういてもたってもいられないので、そっと裏口から隣へげだそうとした。と、そこへ附近まわりの壮い漁師たちがはしゃぎながら船からあがって来た。
海坊主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)