門徒もんと)” の例文
日ごろ織田方に根づよい宿怨しゅくえんをもっている本願寺末派の長島門徒もんとに襲撃されて、この地方の織田被官はたいてい殺戮さつりくや焼亡の難に遭ったのであった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お宗旨は親代々の門徒もんと、年は何時いつまで経っても三十一、これが、銭形平次の戸籍調べである。
加越地方かゑつちはうこと門徒眞宗もんとしんしう歸依者きえしやおほければ、船中せんちうきやくまた門徒もんと七八めたるにぞ、らぬだにいまはしきの「一人坊主ひとりばうず」の、けて氷炭ひようたん相容あひいれざる宗敵しうてきなりとおもふより、乞食こつじきごと法華僧ほつけそう
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
門徒もんとですよ、今お寺樣が來ますから、お宗旨の事ならそつちへ訊いて下さい」
信玄の息がかかっている門徒もんとの僧兵が交じっていたり、また、常に往来した機密文書などが無数に発見され、結局これも、躍らされた信玄の影——なるものであったことが明らかにされた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
叡山は天台てんだい、石山は門徒もんと、宗派はちがうが、仏徒であることに変りはない。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門徒もんとでございます」
「そんなむずかしい法名なんて、わたし呼ばないわ。ただ師兄にいさんて呼ぶのよ。だって、うちのおっさんは、古いご門徒もんとでしょ。だから如海兄さんが方丈さまの位置にすわるときなんかも、ずいぶんお世話したものだしさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)