門付かどづけ)” の例文
彼は、門付かどづけをしながら、中国筋を上って、浪華なにわへ出るまでに、半年もかかった。浪華表の倉屋敷で、彼は国元の母からの消息に接した。
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
丁度お若さんがこのいおりこもる様になった頃より、毎日々々チャンと時間をきめて廻って来る門付かどづけの物貰いがございまして、衣服なりも余り見苦しくはなく
斯様かように申しますものですから、私が事を分けて、いいえ、ございませぬ、門付かどづけでいただいた鳥目ちょうもくが僅かございましたのを、それで、甲府の町のはずれで饂飩うどんを一杯いただいて
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鳥追笠を紅緒べにおで締めて荒い黄八に緋鹿子ひがのこの猫じゃらしという思い切った扮装いでたちも、狂気なりゃこそそれで通って、往きずりの人もちと調子の外れた門付かどづけだわいと振り返るまでのこと
ちょうどその時門付かどづけか何か来て、店先が騒々しかったもので、ツイうっかりしておりましたところ、お帰りになった後で気が付くと、見本に御持ちなすった帯を忘れてお帰りになったのでございます
塩辛声で瞽女唄ごぜうたのようなものを歌って門付かどづけをやっているんです。
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)