鎮護ちんご)” の例文
われわれは先君破虜はりょ将軍にしたがって呉の国を興して以来、ひとえに一命はこの国に捧げ、万代鎮護ちんごの白骨となれば、願いは足る者どもです。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この島の火山には鎮護ちんごのためか、岩殿いわどのと云うほこらがある。その岩殿へ詣でるのじゃ。——火山と云えば思い出したが、お前はまだ火山を見た事はあるまい?
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
舳櫓ともろ船子ふなこは海上鎮護ちんごの神の御声みこえに気をふるい、やにわにをば立直して、曳々えいえい声をげてしければ、船は難無なんな風波ふうはしのぎて、今は我物なり、大権現だいごんげん冥護みょうごはあるぞ、と船子ふなこはたちまち力を得て
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鎮護ちんごまします王城わうじやう
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
江城こうじょう鎮護ちんごの石神として、太田持資おおたもちすけが築城以前からあったのをそのまま江戸城の最も奥まった所にまつってあるというのは、こんなお粗末なものかと万太郎には思われました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この山のどこに、真の御仏みほとけの微光でもあるか。国家の鎮護ちんごたる大本があるか!」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高麗村こまむら御隠家ごいんけ様の思召しである、其方たちにこのまま渡し置くによって、一部は土地の貧者や病人へ、一部は関口の橋修繕に、一部は石神様鎮護ちんご料としてよろしいように配分いたせ。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆらい、わが叡山は、王城鎮護ちんごの寺、宮廷のやくは、坐視できない。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)