錬金術れんきんじゅつ)” の例文
自分じぶん大学だいがくにいた時分じぶんは、医学いがくもやはり、錬金術れんきんじゅつや、形而上学けいじじょうがくなどとおな運命うんめいいたるものとおもうていたが、じつおどろ進歩しんぽである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかし魔術とか錬金術れんきんじゅつとか、occult sciences の話になると、氏は必ずもの悲しそうに頭とパイプとを一しょに振りながら
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何故なぜなら、習慣の錬金術れんきんじゅつがこうして苦しんでいるものを完全な無関心者ストレンジャア(その者にはそんな苦しみの原因が全く莫迦ばかげたものに思われるのだ)
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
この時代、天下を横行した錬金術れんきんじゅつというのは、すこぶる大きな目標を持っていました。万物ばんぶつ何でもきんに変えるというのです。
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
錬金術れんきんじゅつはこれである。すべての錬金術は失敗した。人間はどうしても死ななければならん事が分明ぶんみょうになった
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中世のウィッチクラフトや錬金術れんきんじゅつなどと縁を引いているし、日本でいえば「書紀」にしるされている大陸渡来の呪禁師じゅごんしすなわち呪師のろんじがやはり呪医と曲芸奇術を兼ね行なったのに始まり
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そこに同僚にけた悪魔が一人、何か愉快そうに歩いて来た。昔は錬金術れんきんじゅつを教えた悪魔も今は生徒に応用化学おうようかがくを教えている。それがにやにや笑いながら、こう保吉に話しかけた。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)