鉄砲丸てっぽうだま)” の例文
旧字:鐵砲丸
彼は大きな鉄砲丸てっぽうだまを飲みくだしたごとく、腹の中にいかんともすべからざるかたまりをいだいて、この両三日りょうさんち処置に窮している。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると空中にざあっと雨のような音がして何かまっくらなものがいくかたまりもいくかたまりも鉄砲丸てっぽうだまのように川の向うの方へ飛んで行くのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「さあ、これから、いくさごっこをするのだ。この納豆が鉄砲丸てっぽうだまだよ。これのぶっつけこをするんだ。」と、言いました。私達は二組ふたくみに別れて、雪合戦ゆきがっせんをするように納豆合戦をしました。
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そんな事を言いながら、二人は鉄砲丸てっぽうだまのように一色道庵の門を潜りました。
すると空中にざあっと雨のような音がして、何かまっくらなものが、いくかたまりもいくかたまりも鉄砲丸てっぽうだまのように川のこうの方へんで行くのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これを見て居た鳴海は、鉄砲丸てっぽうだまのように川蒸気を飛出しました。
悪人の娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
チュンセはまるで鉄砲丸てっぽうだまのようにおもてにび出しました。おもてはうすくらくてみぞれがびちょびちょっていました。チュンセはまつの木のえだから雨雪を両手りょうてにいっぱいとって来ました。
手紙 四 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ジョバンニはまるで鉄砲丸てっぽうだまのように立ちあがりました。そしてたれにも聞えないように窓の外へからだを乗り出して力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽喉のどいっぱい泣きだしました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ジョバンニはまるで鉄砲丸てっぽうだまのように立ちあがりました。そしてだれにも聞こえないようにまどの外へからだをり出して、力いっぱいはげしくむねをうってさけび、それからもう咽喉のどいっぱいきだしました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)