金鎧きんがい)” の例文
よ、かしらなきむくろ金鎧きんがい一縮いつしゆくしてほこよこたへ、片手かたてげつゝうままたがり、砂煙すなけむりはらつてトツ/\とぢんかへる。陣中ぢんちうあにおどろかざらんや。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白眉朱面はくびしゅめん金鎧きんがいまばゆきばかり装って、毅然きぜんと突っ立ち、手に黄鉞こうえつを杖ついて、八方を睨まえ、かりそめにも軍門をみだりに出入なすを許しません。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秦明しんめいは、金鎧きんがいさんらんたる馬上姿に、例の鉄の仙人掌棒さぼてんぼうを小脇に持ち、近づいてみると、賊兵の中にようされている大将風なのは、まぎれもない小李広花栄かえいではないか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はっ」と恐懼きょうくしてひき退がり、即刻、官兵百人の先頭に立ち、馬上、金鎧きんがい長剣の雄姿を風に吹かせて、夜どおし道をいそぎ、やがて清風ちんの鎮台大路たいろ、劉高の公邸の前でまず馬をおりた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)