金坊きんぼう)” の例文
花のかおり馥郁ふくいくとして、金坊きんぼう清々せいせいして、はツと我に返つた。あゝ、姉が居なければ、少くともわずらつたらう。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
若いからねえ。一つところにじっとしてなんかいられないんだよ。金坊きんぼうには
金坊きんぼう沈丁花ちょうじの油をつけてきたね。」
いたづらたるものは金坊きんぼうである。初めは稗蒔ひえまきひえの、月代さかやきのやうに素直にこまかく伸びた葉尖はさきを、フツ/\と吹いたり、ろうたけた顔を斜めにして、金魚鉢きんぎょばちの金魚の目を、左から、又右の方からながめたり。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)