金側きんがわ)” の例文
それに金側きんがわの時計がございません、何うも腹ア切ったあとで、まさかあんな姿をしている処を盗賊どろぼうも掛りますまいとは思いますが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
金側きんがわ懐中時計(金鎖きんぐさり共)一番金目かねめなのは、室の中央の丸テーブルの上にあった、金製の煙草セット(煙草入れと灰皿けで、盆は残っていた。盆は赤銅しゃくどう製である)
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
二三週間ぜん門司もじ駅の改札口で、今まで持っていた金側きんがわ時計を掏摸すりにしてられてしまったのだ。モバド会社の特製で時価千円位のモノだったが惜しい事をしたよ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あの時計はたしかかしらんと、自分の金側きんがわを出して、二分ほどちがってると云いながら、おれのそばへ腰をおろした。女の方はちっとも見返らないでつえの上にあごをのせて、正面ばかりながめている。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぜんまいや歯車はあるが金側きんがわ時計がない。
あなたのとこは結構なお身代で、旦那さんは一寸お出での時も金側きんがわの時計を頼まれ物だとおっしゃって、五つも六つも持っておいでなさる、あの御身代が今のお身の上
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに此の金側きんがわの時計も別してしるしのある訳でない、お持料もちりょうになされて下さい、ほかの物は記が有りますから………此処にあなた様が居ると、もし夜廻りの者が参っては相成りませんから、お早く往って
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
川へ落ちてガバ/\していると金側きんがわ時計を拾うような事があり、又間が悪いと途中で手水ちょうずが出たくなって、あゝ何所どこかに手水場があればいと思うと、幸い三疋立ちの雪隠せついんがあるから入ろうとすると
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)