酔醒よいざめ)” の例文
旧字:醉醒
「ああ、これて清々せいせいした。」と、お葉は酔醒よいざめの水を飲んだ。お清はあきれてその顔を眺めている処へ、のお杉ばばあの声が聞えたのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ここでお茶と云う処だけれど、茶じゃ理に落ちて魔物がけ込む。酔醒よいざめにいいもの、と縁側から転がし出したのは西瓜です。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伝え言う……孫右衛門まごえもんと名づけた気のい小父さんが、独酌どくしゃく酔醒よいざめに、我がねたを首あげて見る寒さかな、と来山張らいざんばりの屏風越しに、魂消たまげた首を出してのぞいたと聞く。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そら、ポンプだ、というと呵々からからと高笑いで、水だらけの人間が総崩れになる中を澄まして通って、井戸端へ引返ひっかえして、ウイなんて酔醒よいざめの胸のすくおくびでね、すぐにまた汲み込むと、提げて行くんです。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)