都鳥みやこどり)” の例文
もう少し先へ行くと都鳥みやこどりと、瓦屋かわらやが名物ですが、この辺はまだ町の中で、岸にはいろいろのゴミが、雪と一緒に川面かわもを埋めております。
……今度、其の若年寄に、便宜べんぎあつて、京都比野大納言殿より、(江戸隅田川の都鳥みやこどりが見たい、一羽首尾ようして送られよ。)
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八畳の真中まんなか都鳥みやこどりの模様のメリンスの鏡子の蒲団が敷かれてある、その右の横に三人の男の子のとこが並んで居て、左には瑞木と花木が寝て居る。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あし都鳥みやこどりを描いた提灯ちょうちんは、さしもに広い亀清楼の楼上楼下にかけつらねられて、その灯入りの美しさ——岸につないだ家根船やねぶねにまでおなじ飾りが水にゆれて流れた。
「今の世や猫も杓子しゃくしも花見笠」の、そういう麗かの陽気となった。隅田川には都鳥みやこどりが浮かび、梅若塚には菜の花が手向たむけられ、竹屋の渡しでは船頭が、酔っぱらいながらさおさしていた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この都鳥みやこどり落雁らくがんも当分は食納たべおさめになるかも知れぬ。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
きみなつかしと都鳥みやこどり……幾夜かここに隅田川すみだがわ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
都鳥みやこどり大川おほかは
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
都鳥みやこどりの居る紺青こんじやうの浪が大きく動いて鏡子はとこの上に起き上つた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
都鳥みやこどりく大川に
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)