過言かごん)” の例文
小説を作る度胸どきょうは、このときに出来たといっても過言かごんではない。なおそのうえ僕を楽しませたものは、そこに書かれてあった数行の作品批評であった。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
物によっては、全減ぜんげんするとまでいっても過言かごんではなかろう。それはもとよりかつおだけにかぎったことではない。
いなせな縞の初鰹 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
石見守長安いわみのかみながやすは、ハッとめたような顔色になった。そして自分の過言かごんに気がついたらしく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したしく久しぶりで二、三の卒業式にのぞみ、かつ他の大学の卒業式の記事を新聞によって知ったが、大学の卒業式の折りは実に米国民の思想の最高点に達した時と言って過言かごんであるまいと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「検審に向い近ごろ過言かごんなり、早々刀を引き候え」
頭がよく厭味いやみのない久兵衛のひとそのものにれて通って来る者ばかりといって過言かごんではない。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
ああ、金星超人こそ、正に現代の恐怖の生物、宇宙の喰人種しょくじんしゅというも過言かごんにあらざるなり
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
過言かごんじゃ、そんなことはない。そんなことはない」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
残っているのは脳味噌だけだといっても過言かごんではない。あとは皆借り物だ。質の悪い他人の部品の集成体だ。そんないい加減の集成体が、果してやはり愛すべき価値があるかどうか、はなはだ疑わしい。
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)