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逢魔
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あふま
枕に
就いたのは
黄昏の
頃、
之を
逢魔が
時、
雀色時などといふ
一日の
内人間の
影法師が
一番ぼんやりとする
時で、
五時から
六時の
間に
起つたこと、
私が十七の
秋のはじめ。
殊更な闇がこれから墓塲全體を取り
繞らうとするその
逢魔の蔭にみのるは何時までも佇んでゐた。
売りし琴にむつびの
曲をのせしひびき
逢魔がどきの黒百合折れぬ
市ヶ谷の
逢魔が時となりにけりあかんぼの泣く梟の啼く
逢魔が
時の薄暗がりより
漸次に元気衰へつ、
夜に入りて雨の降り出づるに薄ら淋しくなり
増りぬ。