通船つうせん)” の例文
江州こうしゅうのすぐ対岸で、江州府の大街たいがいとは絶えず通船つうせんが通っており、また黄文炳こうぶんぺいのような物持ちとなると、これは洒落しゃれた自家用船で、いつも江州大城へ出向いていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周囲形めぐらしかこむかたちは川の便利べんりにしたがふ。ふね通路つうろはこれをのぞきてさはりをなさず、又通船つうせん路印みちしるしよるためとす。さてこれにつゞといふ物を簀下すのしたへならべ、さけの入るべきやうにくゝしおく也。
だが又セエヌ河へ出て見ると、一週間まへから洪水おほみづ通船つうせんとまつた騒ぎであるにかゝはらず、水にひたつた繋船河岸かし其処彼処そこかしこで黒い山高帽のむれが朝早くから長い竿を取つて釣をして居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)