追掛おいか)” の例文
此方こちら入違いりちがって祖五郎の跡を追掛おいかけて、姉のお竹が忠平を連れてまいるという、行違ゆきちがいに相成り、お竹が大難だいなんに出合いまするお話に移ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と前に立つて追掛おいかけると、ものの一ちょうとはへだたらない、石垣も土塀どべいも、むぐらみち曲角まがりかど突当つきあたりに大きなやしきがあつた。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
重太郎は追掛おいかけて、又の袂を捉えた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
申すまでもない事で、円髷と銀杏返を見るたびに、杓を持って追掛おいかけるのでは、色情狂いろきちがいを通り越して、人間離れがします、大道中だいどうなかで尻尾を振る犬とへだたりはありません。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此の婦人に惚れて入湯の跡を追掛おいかけて来て入込みの湯の中で脊中せなかなどを押付おっつける人があります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
友之助は商いを仕舞って迎いに来ようと思ったが、そこは外見みえで女房の跡を追掛おいかけるようでいかぬから、銀座へ泊って翌日くと種々いろ/\跡に取込とりこみがあり、親類の客があるし
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はんに迷ったからじゃア、おまえは藤屋七兵衞さんを大事に思う余りわしの云う事を聴いたろうが、お繼が駈けて来て床下を覗いてお父様はと云うたから、見たと思うて追掛おいかけたが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
両人はドシ/\追掛おいかけて田町へ下りずに先の方へ無闇に駈出しましたから