輪切わぎり)” の例文
名高い狒々ひひのいた近辺に、母と子との猿を一しょに入れてあるおりがあって、その前には例の輪切わぎりにした薩摩さつまいも芋が置いてある。
牛鍋 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「いや、一呑みになさるには及びません。厚さが十センチぐらいの輪切わぎりになって居りますので、お皿にのせて、ナイフとフォークで召しあがれます」
革鞄の中へ輪切わぎりにした女を油紙に包んで詰込んでいようの、従って、探偵などと思ったのでは決してない。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは白い身の軽い魚を塩湯煮しおゆでにするかあるいは蒸しておいて第百十八にあるような白ソースをかけて出します。魚の時はそのソースへ湯煮玉子ゆでたまご輪切わぎりを混ぜるとなお味が良くなります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「なあに心配することはない。大丈夫。ただ、いろんなものが動きだすからね。……あッ、ほら、缶詰の中からパイナップルの輪切わぎりになったのが、ぞろぞろと外へせりだしてきた」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
拝打おがみうち輪切わぎり袈裟掛けさがけ、はて、我ながら、気がえ、手が冴え、白刃しらはとともに、抜けつくぐりつ、刎越はねこえ、飛び交い、八面に渡って、薙立なぎたて薙立て、切伏せると、ばさばさと倒れるごとに
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)