軍扇ぐんせん)” の例文
桃太郎ももたろうはおさむらいるような陣羽織じんばおりて、かたなこしにさして、きびだんごのふくろをぶらげました。そしてもものかいてある軍扇ぐんせんを手にって
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
瀬兵衛は軍扇ぐんせんをひらいて、しきりにくびをあおいでいた。そして、敢えて下らざる意志を示すもののように、右近とともに、上座を取って坐っていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、軍扇ぐんせんかなめをもって、民部はたなごころを指すように、ここは何山、ここは何の陣法と、こまかに、みくだいて説明した。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ごもっともでござります」民部も軍扇ぐんせんひざについて、おなじ無念にうつむきながら思わず
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、金地きんじに日の丸の軍扇ぐんせんをひらいて、頭のうえに振りかざしながら
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぶやきながら軍扇ぐんせんをついて、ふかく考えているのは小幡民部こばたみんぶである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と——猿殿は、手の軍扇ぐんせんを、少しあげて、わしの顔をさしまねき
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これへ——と、元康の軍扇ぐんせんは彼をさしまねいた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さッと軍扇ぐんせんをひらいて、後方へ振って見せた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)