賤婦せんぷ)” の例文
されど剛愎ごうふく我慢なるそのさがとして今かくとりこはずかしめを受け、賤婦せんぷの虐迫に屈従して城下のちかいを潔しとせず、断然華族の位置を守りてお丹の要求をしりぞけたるなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あんずるにいにしえは麦・稲の穂をくに、二つの小管こくだなわを通してつなぎ、これを握り持ちはさみて穂を扱きしなり、秋収の時に至れば、近隣の賤婦せんぷ孀婆そうば是が為にやとはれ、もっくことを得たり。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
人々を裁いた法官帽は賤婦せんぷの裳衣だった腐敗物の傍に沈溺ちんできする。