賢者けんしや)” の例文
しかれどもひそかおもへらく、賢者けんしや旧悪きうあくをおもはずといふも事にこそよれ、冤謫ゑんてき懆愁さうしうのあまり讒言ざんげん首唱しゆしやうたる時平大臣しへいのおとゞ肚中とちゆうに深く恨み玉ひしもしるべからず。
みち出合であ老幼らうえうは、みな輿けてひざまづく。輿なかではりよがひどく心持こゝろもちになつてゐる。牧民ぼくみんしよくにゐて賢者けんしやれいするとふのが、手柄てがらのやうにおもはれて、りよ滿足まんぞくあたへるのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかれどもひそかおもへらく、賢者けんしや旧悪きうあくをおもはずといふも事にこそよれ、冤謫ゑんてき懆愁さうしうのあまり讒言ざんげん首唱しゆしやうたる時平大臣しへいのおとゞ肚中とちゆうに深く恨み玉ひしもしるべからず。
 御若冠の時とは申ながら、賢者けんしやきこえある重臣の 菅公を時平大臣おとゞが一時の讒口ざんこうを信じ玉ひて其実否をもたゞし玉はず、卒尓そつじに菅公を左遷させんありしは 御一代の失徳しつとくとやいふべき。
 御若冠の時とは申ながら、賢者けんしやきこえある重臣の 菅公を時平大臣おとゞが一時の讒口ざんこうを信じ玉ひて其実否をもたゞし玉はず、卒尓そつじに菅公を左遷させんありしは 御一代の失徳しつとくとやいふべき。