たも)” の例文
あ、もし小田切さま、とにかく妾はこれにて駕をいただきますゆえ、そちらもどうぞ自由に引き取ってたもりますよう……
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるで物取りの仕業しわざのような情ない目にお遇いなされ、殺されたうえに云いようのないはずかしめをお受けなされては、子としてその恨みを忘れることが出来るものか、まあ考えてたもるがよい。
さえを習ふなと言ふのなら、まだ聞きも知らぬこと教へてたもれ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
姫路城は、猿殿が、故信長公からたもうていたところの、居城であり、家庭であった。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
才を習うなと言うなら、まだ聞きも知らぬこと、教えてたもれ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
「そして一体、そちが味方をしてたもる訳は?———」
と、すすめていたが、ふたりの仲はたやすく美酒うまざけのごとくかもされては来なかった。——天皇からたもうた女と、賜わった男とである。いわばまたその初夜だった。——人はやはり品ではない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「嫌じゃ、たとえどのような事があろうと、二度と京へ帰る心はない。それに、妾の気持が江戸の町にも合っている。ここで気儘気楽に世を送りたいのじゃ、何とかよいように計らってたもれ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また伊那丸いなまるも、それをとがめるどころではなく、自分の手飼てがいの者が神庭しんていをけがしたのであるから、しゅたる自分の謹慎きんしんするのはとうぜんであって、まだ二十一日にみたないうちにゆるしをたもうのは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
獄人ごくじんに剣をたもう」と、自刃を迫った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)