“貶(おとし)” の例文
すべてごりっぱなものであって、だれも貶(おとし)める言葉を知らなかった。桐壺の更衣は身分と御愛寵とに比例の取れぬところがあった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そのベルナルドオを難ずる詞は、多少我創痍(さうい)に灌(そゝ)ぐ藥油となりたれども、アヌンチヤタを貶(おとし)むる詞は、わが容易(たやす)く首肯し難きところなりき。
特にその中の誰々だけを優遇し、誰を貶(おとし)めるということはしない。そういう差別待遇は中村屋の制度のどの方面にも絶対に存在しないのである。
為すべきは必ず為して、己(おのれ)を衒(てら)はず、他(ひと)を貶(おとし)めず、恭謹にしてしかも気節に乏からざるなど、世に難有(ありがた)き若者なり、と鰐淵は寧(むし)ろ心陰(こころひそか)に彼を畏(おそ)れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
人を貶(おとし)める、それも程度こそあれ、中間小者に等しいとか、わけもなく生え伸びる路傍の雑草とは過言も甚(はなは)だしい、藤六は歯がみをしながらひき返そうとした、するとなお無遠慮に
足軽奉公 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
周囲から陽に貶(おとし)められ、陰に羨(うらや)まれる妾と云うものの苦しさを味って、そのお蔭(かげ)で一種の世間を馬鹿にしたような気象を養成してはいるが、根が善人で、まだ人に揉(も)まれていぬので
雁 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
サンタは我を慰めて、ベルナルドオの心ざまを難じ、又アヌンチヤタの性(さが)をさへ貶(おとし)め言へり。