讃歎さんたん)” の例文
かつ画学生の力をもって仁清の深遠なる絢爛をやすやすと生み出し、多くの好事家、鑑賞家、愛陶家をしてアッと讃歎さんたんせしめんものと
ああはたして仁なりや、しかも一人のかれが残忍苛酷かこくにして、じょすべき老車夫を懲罰し、あわれむべき母と子を厳責したりし尽瘁じんすいを、讃歎さんたんするもの無きはいかん。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
素人眼しろうとめには誠につまらぬ画にて、雪舟崇拝と称せし当時の美術学校派さへこれを凡作と評したるほどなりしが、不折君はややしばし見て後しきりに讃歎さんたんしてまず
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
伝説には此人一乗要訣を撰した時には、馬鳴めみょう菩薩ぼさつ竜樹りゅうじゅ菩薩が現われて摩頂讃歎さんたんし、伝教大師は合掌して、我山の教法は今汝に属すと告げられたと夢みたということである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
稲積みの蔭で、お初の声は、嘲りから、だんだん讃歎さんたんに変りつつあるのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
おどろきと、讃歎さんたんにみちた声の波紋はみるみるうちに大きくひろがってゆく。
本所松坂町 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
最も同国人の讃歎さんたんするところの面白い仕事は強盗である。あるいは他の部落をおとしいれ幾人の人間を殺すことを非常な名誉と思うて居るんである。カムには強盗の歌がある。その俗謡ぞくようがなかなか面白い。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)