謀計たくみ)” の例文
しやしつゝお光は泣顏なきがほ隱し井戸端へ行き釣上つりあぐ竿さをを直なる身の上も白精しらげよねと事變り腹いと黒き其人が堀拔ほりぬき井戸のそこふか謀計たくみに掛り無實の汚名をめい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もし僕の推定が誤らなければ、犯人たちの口を噤んで居る理由もわかるし、そこに鬼頭否園田の前科者としての謀計たくみが働いて居るようにも思われる……
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
我欲は充分折ってくだいて思案を凝らして来たものの、なお汝の了見も腹蔵のないところを聞きたく、その上にまたどうともしようと、我も男児おとこなりゃきたな謀計たくみを腹には持たぬ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それを取ろうとする謀計たくみわなを知って、実はお前さんが又作をくびり殺し、火をけて逃げた時、其の隣の明店あきだなで始末を残らず聞いていたのだ、んと悪い事は出来ねえものだねえ
尚汝の了見も腹蔵の無いところを聞きたく、其上にまた何様とも為やうと、我も男児をとこなりや汚い謀計たくみを腹には持たぬ、真実ほんと如是かうおもふて来たは、と言葉を少時とゞめて十兵衞が顔を見るに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)