袈裟掛けさが)” の例文
なますのやうになつてこと切れ、照吉はほんの二三ヶ所のかすり傷を受けただけ、その代り見事な袈裟掛けさがけに斬られて死んで居ります。
そこを自得の袈裟掛けさがけ一刀、伊那高遠の八幡社頭で、夜な夜な鍛えた生木割り! 右の肩から胸へ掛け、水もまらず切り放した。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかるに、両名の傷は申し合わせていずれも背をうしろから袈裟掛けさがけにやられているではござりませぬか
四隣あたりに人無きを見済まして乙女の背後より追ひ縋り、足音を聞いて振り返る処を、抜く手を見せず袈裟掛けさがけに斬り倒ふし、衣服を剥ぎて胸をあらはし、小束こづか逆手さかでに持ちて鳩骨みぞおちを切り開き
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
うわさだけは聞いた。袈裟掛けさがけ——それも、きまって右肩からひだりのあばらへかけて斜め一文字に斬りさげてあるそうではないか。一夜に十人も殺されたとは驚いたな。もとより腕ききには相違ないが——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
なんじょう黙山の今はちゅうちょすべき、かわいい声をふりあげると、姉上兄上ふたりのかたき思い知ったかとばかりに、大きく袈裟掛けさがけに二太刀切りさげました。
と、陶器師の眉の辺、ピリピリと痙攣けいれんしたかと思うと、ゆらり体形斜に流れサーッと大きく片手の袈裟掛けさがけ! 逃げもそらしも出来なかったか、庄三郎は突いて出た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
、誰かに後ろから袈裟掛けさがけに斬られたんだらう
翻然ほんぜんとして飛び込んで太刀を上げて、袈裟掛けさがけに日の光を割ったのを、ひっぱずした紋也が突きを入れたのを、今度は兵馬が体形を流して取り直した太刀で横へ払った時に
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しめし合わせた老職が袈裟掛けさがけの二太刀で無残にもこれを追い傷にしとめ、また元来が藩の祐筆ゆうひつであまり刀法には通じていなかったものでしたから、手もなくしてやられたその死骸しがいをば
「見事な袈裟掛けさがけだネ」
右へ開いて、入身いりみになり右の肩を袈裟掛けさがけに軽く。そうして置いてグルリと廻り
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「一太刀たちでぱっさりと袈裟掛けさがけにでもされたのでござりまするか」
「見事な袈裟掛けさがけだネ」
見れば一人の武士さむらいが血刀をふるって立っていた。お粂があぶないと見てとって、引っ返して来た山県紋也が、敵の一人を袈裟掛けさがけにたおし、第二の犠牲を目付けようと、刀を揮っているのであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すなわち袈裟掛けさがけにぶっぱなしたのである。「キャッ」というとその土人は酒樽のようにぶったおれたが、切り口からドクドク血をこぼす。とたんに飛び出たのはホーキン氏で四番目の土人の腹を突いた。