表側おもてがわ)” の例文
電柱でんちゅうに、「ほねつぎもみ療治りょうじ」と看板かんばんのかかっているところから、路次ろじがると、たりに表側おもてがわ西洋造せいようづくりにした医院いいんがあります。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんじんは、根気こんきよく、ハンケチの表側おもてがわへかみ出す。間違って裏側へやると、そこをなんとかごまかす。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
渋々しぶしぶ履物はきものを突っかけて玄関を出た。見ると、屋敷の者が四、五人、手に手に提灯ちょうちんを持って、ポカンと口を開け、ひどく感心したように玄関の戸の表側おもてがわを見上げている。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
中くらいの場所は表側おもてがわだけ瓦葺きで、いわゆる半瓦はんかわらの家はめずらしくなく、まして場末ばすえには瓦一枚もつかわぬ家ばかりであったが、わずか四、五年をへだてて二度目にくだって見ると
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)