衛門えもん)” の例文
瓜生うりゅう衛門えもんだが、あれはもうだいぶ年をとってしまったから、あまり役には立たんだろうが、ま、よく面倒をみておやりなさい。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
「お使いの者、もどりました」高松衛門えもんが、あわただしく、告げてきた。待ちかねて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親王がた、高官たちもたか使いのたしなみのある人は、野に出てからの用にきれいな狩衣かりぎぬを用意していた。左右の近衛このえ、左右の衛門えもん、左右の兵衛ひょうえに属した鷹匠たかじょうたちは大柄な、目だつ摺衣すりぎぬを着ていた。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ところで、十月のなかばごろまでには、後れて上方を発足した原総右衛門、小野寺十内、間喜兵衛なぞの領袖株りょうしゅうかぶ老人連も、岡島八十やそ衛門えもん、貝賀弥左衛門なぞといっしょに、前後して、江戸へ着いた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
ほた三束、蝋燭ろうそく二十梃、わき本陣様より博労ばくろうごん衛門えもんに下さる」
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
きじ六、石丸、むく衛門えもんなど、六波羅方の動静を、日夜うかがいおりましたるところ、今夜にいたりまして活溌となり、早馬数騎鎌倉さして、馳せ下るよう見うけましたれば、途中に要して取って抑え
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やがてわらべ達の唄声が次第に遠く消えて行く頃、瓜生うりゅう衛門えもん、右手より現れる。丘の上の人影をそっとうかがうようにみている。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
いうまでもなく、これは天皇後醍醐の御車みくるまだった。——敵を計るには味方を計れと、衛門えもんの兵にすらも覚られぬように、動座のご一歩を、まずはつつがなく踏み出されたものである。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここからそんなに遠くない瓜生うりゅうの山里に、衛門えもんと云う僕の忠実な爺やが瓜を作りながら暮しているんだ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
「お召しでございますか」執事の高松衛門えもんが、次の間まで来て、手をつかえた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はいっ」高松衛門えもんは、わたりを、つつつと小走りに退がった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)