トップ
>
衂
>
ちぬ
ふりがな文庫
“
衂
(
ちぬ
)” の例文
また別に『宝刀未だ
衂
(
ちぬ
)
らず洋夷の血』とか『三たび死を決して而も死せず』とか、なかなかいうことは壮烈だけれども結局は云うばかりだ
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
正直者の虎之助は、二言なく、顔を
赧
(
あか
)
めていた。脇坂甚内も、すでに槍の穂を
衂
(
ちぬ
)
り、敵の一首級は腰にくくっていたのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼としては、もはや、人間にせよ、畜類にせよ、およそ生きとし生けるものの、その一つをでさえも、これより以上に刃に
衂
(
ちぬ
)
らせたくはないのだ。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
難を
凌
(
しの
)
ぎ危を
冒
(
おか
)
し、あえて寸鉄に
衂
(
ちぬ
)
らずしてもって今日の場合にいたりたるは、ただに強勇というべきのみに非ず、これを評して智と称せざるべからず。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「小説の刃は
衂
(
ちぬ
)
られなければならない」と、芸術の光背を負うて陸離たるが如くあった室生犀星氏が
文学における今日の日本的なるもの
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
「今少しく兵を起したでは敵を滅ぼすことは出来ない。さりとて多く兵を動かせばこれ百姓の害である。なるべく
兵刃
(
へいじん
)
に
衂
(
ちぬ
)
らずして、
坐
(
い
)
ながらにして目的を達したい」
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
彼の
抱
(
いだ
)
いていった
薄刃
(
うすば
)
の短刀に血を
衂
(
ちぬ
)
らず、あの重い砲丸を投げつけて目的を達したことは、
後
(
のち
)
に捕縛されたとしても、短刀をまだ使っていないという点で、犯行を否定するつもりだったという。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ドタドタドタという足音が、嵐のようにくずれ去る、御方は
衂
(
ちぬ
)
られた小太刀を振って一散に追いかけ斬りかけて行った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、信長の
本塁
(
ほんるい
)
は
天野山
(
あまのやま
)
におかれた。こう壮観な布陣を展開しながら、彼はなお、
衂
(
ちぬ
)
らずして
叛軍
(
はんぐん
)
を降すことに、
一縷
(
いちる
)
の望みをつないでいた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから、ここにあるただ一つの策は、友の半兵衛からよく利害を説いて、
衂
(
ちぬ
)
らずして彼を降伏させるしかない。しかし、彼もさる者、寄手の弱点は、充分見ぬいている。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
喊声
(
かんせい
)
をあげながら、怒濤の兵は関門へ突入した。ほとんど、
衂
(
ちぬ
)
らずに、涪水関は占領された。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の血液はやはり
魏刀
(
ぎとう
)
に
衂
(
ちぬ
)
られるものに初めから約束されていたようである。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをまず
衂
(
ちぬ
)
らずに抜こうと苦心していたのであった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
衂
(
ちぬ
)
らずして国土の難を救うことができましょう。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
衂
部首:⾎
9画