蜂谷はちや)” の例文
三月十七日、甲斐は「朝粥あさがゆの会」を催し、六人を招待した。しかし、来たのは蜂谷はちや六左衛門だけで、他の五人は御用のためという理由で断わった。
一晩寝て、目がさめて見たら、もう王政復古が来ていた——そんなことを言って、あの蜂谷はちやさん(故香蔵のこと)には笑われるくらいの子供でした。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを蜂谷はちやという小姓こしょうが聞きとがめて、「おぬし一人がそう思うなら、撃ってみるがよい」と言った。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
甲斐は蜂谷はちや六左衛門の隣りに坐ったが、六左衛門はあまり酒を飲まず、医者に止められたものですから、と云って先に食事をし、早く帰っていった。
恭順がそこへ取り出したのは、半蔵の旧友蜂谷はちや香蔵がこの同門の医者のもとに残して置いて行ったものである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
久世くぜ(大和守)侯から召されまして、蜂谷はちや六左衛門と長沼善兵衛がまいりましたところ、これまでの取次衆は。
幸い一人の学友を美濃の中津川の方に見いだしたのはそのころからである。蜂谷はちや香蔵こうぞうと言って、もっと学ぶことを半蔵に説き勧めてくれたのも、この香蔵だ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
うもあつたらうかとおもひます。そして、大脇おほわきわきけてもらふとか、蜂谷はちやけてもらふとかして、いろ/\な苗字めうじむらにふえてつたらうかとおもひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
伊東七十郎、十左どの、蜂谷はちや六左衛門どの、それからくみと申す女です。
中津川の蜂谷はちや香蔵、同じ町の浅見景蔵——あの三人を寛斎が戯れに三蔵と呼んで見るのを楽しみにしたほど、彼のもとへ本を読みにかよって来たかずかずの若者の中でも
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蜂谷はちやさまと伊東さま、里見さまのお三人です」
「勝重、あれを持って来て、浅見さんにも蜂谷はちやさんにもお目にかけな。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蜂谷はちや君、近いうちに、自分は江戸から相州三浦方面へかけて出発する。妻の兄、妻籠つまご本陣の寿平次と同行する。この旅は横須賀在の公郷村くごうむらに遠い先祖の遺族をたずねるためであるが、江戸をも見たい。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蜂谷はちや君は。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)