蓮華草れんげさう)” の例文
北野きたのはづれると、麥畑むぎばたけあをなかに、はな黄色きいろいのと、蓮華草れんげさうはなあかいのとが、野面のづら三色みいろけにしてうつくしさははれなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
春はそこから出て野に行く道に、蓮華草れんげさうすみれの一面に咲いたところがあつて、村の小娘達はそれを採つては束にして終日長く遊んでゐるのを誰も見懸けた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「知つてるよ、それで巣鴨へ花見に行かうといふんだらう。向島か飛島山あすかやまなら花見も洒落しやれてゐるが、巣鴨の田圃で蓮華草れんげさうむなんざ、こちとらの柄にないぜ、八」
越してそれから諏訪の湖水が見えて夫から下諏訪だ此は云て見ればお前立まへだちといふやうなものとの答へまだ付の一里是からの長きこと限りなく山吹を折りて帽子に揷したり蓮華草れんげさう
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
「フム、一向つまらない事かも知れないが、蓮華草れんげさうを摘む氣で行つて見るか」