蒿雀あをじ)” の例文
たゞ蒿雀あをじふゆはるわきまへぬやうに、あたゝかい日南ひなたから隱氣いんきたけはやしもとめてひく小枝こえだわたつて下手へたきやうをして、さうして猶且やつぱり日南ひなたつちをぴよん/\とねた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
井戸から一間許り西手の小藪に蒿雀あをじがツン/\鳴く。流しもとの小棚に米浙笊こめとぎざる、米浙桶、洗桶などが綺麗に洗はれて伏せてある。胡蘿蔔や大根やが葉つきのまゝ載せてあるのも美しい。
古代之少女 (旧字旧仮名) / 伊藤左千夫(著)
山はまだ花やや寒きはりの枯れ枯れの枝に蒿雀あをじつどへり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蒿雀あをじが鳴いて
季節の馬車 (旧字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
さきから籾をくはむと蒿雀あをじひよどりや、ひたきも取れてあらむと、こはや足をはさまれて、はさまれて居る鼠や、をばやし小溝の鼠、みづ田くが田の鼠は、みしねくひ麥くふ、きやう鼠はつか鼠
長塚節歌集:1 上 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
蒿雀あをじは鳴く、風はさわたる。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
冬の日の障子あかるくさゝむ時蒿雀あをじも來鳴けなぐさもるべし
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)