こうぶ)” の例文
「公のために新調したのだ」と説明がある上は安心して、わがものと心得て、差支さしつかえなしと考えた故、御免ごめんこうぶって寝る。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
八つまではなだへうちこむ五斗兵衛ごとべえ末胤まついん酔えば三郎づれが鉄砲の音ぐらいにはびくりともせぬ強者つわものそのお相伴の御免こうぶりたいは万々なれどどうぞ御近日とありふれたる送り詞を
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ななめならず王鬼の勘気をこうぶり、官をがれ世にうとま
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
またこの思想や感情が外界の因縁いんねんで意識の表面へ出て来る機会がないと、生涯しょうがいその思想や感情の支配を受けながら、自分はけっしてそんな影響をこうぶったおぼえがないと主張する。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)