茶断ちゃだち)” の例文
万作夫婦は朝夕涙に暮れて、茶断ちゃだち塩断しおだちして、いつもお光が腰かけた柳の根株にしめなわかけて筑波さまあらぶる神さまに願をかけても、一向に帰って来ぬ。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
芸者その朋輩ほうばい丸髷まるまげふを見ればわたしもどうぞ一度はと茶断ちゃだち塩断しおだち神かけて念ずるが多し。芸者も女なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かつ慈母おッかさんもこの頃じゃア茶断ちゃだちして心配してお出でなさるところだから、こればかりで犠牲ヴィクチームに成ッたと云ッても敢て小胆とは言われまい。コリャいッそ叔母の意見に……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
迷信の深い小山夫人は、その後永く鳥獣の肉と茶断ちゃだちをして、判事の無事を祈っている。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こう申せばそなたはお笑い被成候なされそうろうかは存じ不申もうさず候えども、手紙の着きし当日より一日も早くもとのようにお成り被成なされ候ように○○どこそこのお祖師さまへ茶断ちゃだちして願掛け致しおり候まま
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
茶断ちゃだち塩断しおだちまでしてくれるのに、おれはなぜ早く死なんのかな。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
魚断うおだち菜断さいだち穀断こくだちと、茶断ちゃだち塩断しおだち……こうなりゃ鯱立しゃっちょこだちだ。)
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)